電気ポットに残った水を再沸騰させることの危険性について

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水を再沸騰させると毒素が発生する、といったお話、聞いたことがありますか？インターネットで調べてみると、水を何度も沸騰させることでヒ素や硝酸塩、フッ化物などの毒性物質が生じる可能性があると記載された記事がいくつかあるのですが、本当なのでしょうか。もしそうであれば、普段何気なく利用している水道水が、何かものすごく危険なものに感じてしまいますよね。本当のところはどうなのか、今回は再沸騰させた水の性質や危険性について解説していきます。

再沸騰させた水がよくない理由について

再沸騰させた水がよくない理由について、次の2点がよくあげられています。

・再沸騰させることでヒ素や硝酸塩、フッ化物などの毒性物質が発生する
・再沸騰させることで含有酸素減少し、お茶を入れた時に味が落ちる

2つの理由について、詳しく説明します。

毒素の発生

一度沸かした水を再沸騰させるとよくない理由の1つとして、再沸騰させることで酸素構造が変化し、化学変化が起きてヒ素、フッ化物、硝酸塩などの毒素が発生するからであるといわれています。しかし、酸素構造が変化するといった説や、毒素が発生するといった説に対して、裏付けできるような科学的論文などは見つかりませんでした。2つの説に対して異を唱える記事も多く、本当のところはわかりません。

含有酸素の減少

何度も沸かした水は含有酸素の量がその都度減少し、お茶などの味が落ちるため使用しないほうがよい、といった説があります。そもそも水は5分沸騰させると含有酸素は限りなくゼロに近くなるので、一度沸かしても、何度沸かしても、沸騰した水に含まれる酸素の量はあまり変わらないそうです。であれば、私達は常に酸素をあまり含んでいない、沸騰させた水でお茶を飲んでいることになるので、何度沸かしても味は変わらないのではないかと思われます。

水の再沸騰による毒素発生が広まった理由

水を再沸騰させることで化学反応が起こり、毒素が発生する・・・なぜここまで広まったのでしょうか？ibenzo氏は「A netlore chase」という記事の中で、その理由として伝わり方の違いや、日本と他国の水道事情の違いからではないかと説明しています。二つに理由について、詳しく解説します。

伝わり方の違い

イギリスの浄水器メーカー、total soft water社のホームページに2015年12月9日に掲載された「Reboiling Water issues」という記事には、「再沸騰させることでヒ素、フッ化物、硝酸塩などの特定の化学物質の濃度が上昇する可能性がある」と、記載されています。この記事は再沸騰させた水が危険であるという説を広めた元ではないか、といわれていますが、「濃度が上昇する」とは書かれていても、「毒素が発生する」とは書かれていませんでした。この文章が翻訳された際に間違った意味の捉えられ方をされてしまい、そのまま広まってしまったのかもしれません。

日本と他国の水道事情の違い

ヒ素、フッ化物、硝酸塩などの特定の化学物質の濃度が上昇する、という見解についてですが、日本には当てはまらないといわれています。理由として、記事が発表されたイギリスと日本では水道水の浄水技術に違いがあり、日本の水道水にヒ素、フッ化物、硝酸塩などの特定の化学物質が残留する可能性は低いからだそうです。イギリスの水道水に基づいたイギリスの浄水器メーカーの記事をそのまま日本に当てはめてしまったことで、今回のような見解が広まったのかもしれません。

再沸騰させた水道水の安全性

再沸騰させても特定の化学物質が発生する、若しくは濃度が増す可能性は極めて低いといわれている日本の水道水ですが、一度沸騰させた水道水を再利用する際は保存状態によっては注意が必要です。水道水には水を腐敗させないために塩素が含まれています。この塩素は一度沸騰させると消滅してしまうので、一度沸かした水を30度~40度で放置しておくと、細菌が湧く可能性があります。また沸かせば細菌は死滅するので問題ないのですが、そのまま飲むのはあまりおすすめできません。

電気ポットを安全に利用するために

日本の水道水を電気ポットで再沸騰させたり、保温したりしても毒素が発生したり、毒素の濃度が上昇したりする可能性は低いと思われます。しかし、中に残ったお湯を保温もせずに再利用するのは、ポットの中に細菌が発生したり、ポットの中が汚れてしまうかもしれないのであまりおすすめできません。もったいなくても電源を切った時に残ったお湯は一度全部捨て、次に使う時には新しい水を入れるようにしたほうが安全ですよ！